
ブルー・ラグーン
港町で酒场なんかをやっていると、それはもう色々な客が访れる。常连と言えばやはり船乗りなのだが、観光客や旅人や冒険者もかなり多い。
今夜などは特にそうだ。明日の朝にボルン行きの船が出るということで、店内は食事やら雑谈目的の客で盛况だった。だからと言って大混雑というほどでもないのは、ここが极めて小さな町だからだ。店が小さいのではない。决して。
夜も更けると来客が减ったので、私は一息つこうとグラスを取り出した。自分用の酒を作るためだが、ふと目线を前に投げた。
目の前のカウンター席には服装で冒険者と分かる者が何组かいたが、私は中でも话しやすそうな二人连れに声を挂けた。
「お兄さんたち、何か作るかい?」
急な申し出に彼らはきょとんとしたが、すぐに简単なものを注文してくれた。先ほどからさりげなく観察していたのだが、话题の中に「ギルド」という単语が出てきたので冒険者なのは确実だ。
ただその割に屈强な印象はなかった。向かって左に座る金髪の青年はかなり细身で、身のこなしや言叶遣いからしてどこかの金持ちの坊ちゃんという印象だった。おまけに女性に騒がれそうな美男子である。
もう片方のバンダナの青年は比较的がっしりしているが、それでも船乗りには负けている。ともあれ、友人と楽しそうに食事をする様子は、主人としてはとてもありがたいものだった。二人とも明るく感じの良い青年に见えた。
「耳に入って来たんだが、君たちはギルドの?」
冒険者に憧れていた时期もあるので、私はよくこうやって割り込んでは话を闻いていた。
「そうです」
「そうだよ」
同时に返事が来た。仕事内容を问うと、主に魔兽退治とガードマンで、デュシス地方をずいぶん歩き回ったという。
「はあ……すごいねえ、地方一周だ」
「だろ? 散々こき使われたけど、ようやく明日の船で帰れるんだ。あー、长かった」
バンダナの彼は少々怪しい吕律で言った。
「アヴィン、嬉しいのは分かるけど、三杯までだからね」
「分かってるよ。酒场に来るといっつもそれだよな、マイルは」
「溃れた君を置いてってもいいなら、いくら饮んだっていいんだよ」
バンダナの彼がうっ、と呻いた。あまり强くないらしい。
金髪の彼はマイル君、バンダナの彼はアヴィン君というらしい。「アイメル、元気にやってるかな」
「手纸だと元気そうだったけどね。母さんが色々世话焼いてるのが目に浮かぶよ」
「はは、俺としちゃありがたいよ」
「なんだい、恋人か?」
女性の名前が出てきたのですかさず突っ込んでやるが、
「违う违う、妹だよ」
当てが外れた。彼は妹がいかに可爱らしいかを友人と私に讷々と语り、三杯目を饮み干したところでぐったりと头を垂れた。
「アイメル……兄ちゃん、今帰るからなー……」
颜色は変わらなかったのだが、やはり弱い。彼はうつ伏せになると、すっかり眠る体势になってしまった。
「ありゃ、三杯でも多かったか」
金髪の彼は失败したな、と軽く言い、椅子に挂かっていた自分のマントを眠りこけた友人に挂けてやっていた。こういう事态に惯れているのだろう。
「えーと、マイル君でいいかな?」
连れが寝て暇になったに违いない。私はこれ幸いとばかりに话し挂けた。
「はい?」
彼はこちらを见上げた。名は合っていたようだ。そういえば确か似たような名前の冒険者が主人公の小说があったが、まあ偶然だろう。本のモデルになるには少々若すぎる。
目が合って気付いたが、彼は今时珍しいほどの、鲜やかな碧眼の持ち主だった。
「良かったら、旅の话を闻かせてくれないか?」
港町で酒场なんかをやっていると、それはもう色々な客が访れる。常连と言えばやはり船乗りなのだが、観光客や旅人や冒険者もかなり多い。
今夜などは特にそうだ。明日の朝にボルン行きの船が出るということで、店内は食事やら雑谈目的の客で盛况だった。だからと言って大混雑というほどでもないのは、ここが极めて小さな町だからだ。店が小さいのではない。决して。
夜も更けると来客が减ったので、私は一息つこうとグラスを取り出した。自分用の酒を作るためだが、ふと目线を前に投げた。
目の前のカウンター席には服装で冒険者と分かる者が何组かいたが、私は中でも话しやすそうな二人连れに声を挂けた。
「お兄さんたち、何か作るかい?」
急な申し出に彼らはきょとんとしたが、すぐに简単なものを注文してくれた。先ほどからさりげなく観察していたのだが、话题の中に「ギルド」という単语が出てきたので冒険者なのは确実だ。
ただその割に屈强な印象はなかった。向かって左に座る金髪の青年はかなり细身で、身のこなしや言叶遣いからしてどこかの金持ちの坊ちゃんという印象だった。おまけに女性に騒がれそうな美男子である。
もう片方のバンダナの青年は比较的がっしりしているが、それでも船乗りには负けている。ともあれ、友人と楽しそうに食事をする様子は、主人としてはとてもありがたいものだった。二人とも明るく感じの良い青年に见えた。
「耳に入って来たんだが、君たちはギルドの?」
冒険者に憧れていた时期もあるので、私はよくこうやって割り込んでは话を闻いていた。
「そうです」
「そうだよ」
同时に返事が来た。仕事内容を问うと、主に魔兽退治とガードマンで、デュシス地方をずいぶん歩き回ったという。
「はあ……すごいねえ、地方一周だ」
「だろ? 散々こき使われたけど、ようやく明日の船で帰れるんだ。あー、长かった」
バンダナの彼は少々怪しい吕律で言った。
「アヴィン、嬉しいのは分かるけど、三杯までだからね」
「分かってるよ。酒场に来るといっつもそれだよな、マイルは」
「溃れた君を置いてってもいいなら、いくら饮んだっていいんだよ」
バンダナの彼がうっ、と呻いた。あまり强くないらしい。
金髪の彼はマイル君、バンダナの彼はアヴィン君というらしい。「アイメル、元気にやってるかな」
「手纸だと元気そうだったけどね。母さんが色々世话焼いてるのが目に浮かぶよ」
「はは、俺としちゃありがたいよ」
「なんだい、恋人か?」
女性の名前が出てきたのですかさず突っ込んでやるが、
「违う违う、妹だよ」
当てが外れた。彼は妹がいかに可爱らしいかを友人と私に讷々と语り、三杯目を饮み干したところでぐったりと头を垂れた。
「アイメル……兄ちゃん、今帰るからなー……」
颜色は変わらなかったのだが、やはり弱い。彼はうつ伏せになると、すっかり眠る体势になってしまった。
「ありゃ、三杯でも多かったか」
金髪の彼は失败したな、と軽く言い、椅子に挂かっていた自分のマントを眠りこけた友人に挂けてやっていた。こういう事态に惯れているのだろう。
「えーと、マイル君でいいかな?」
连れが寝て暇になったに违いない。私はこれ幸いとばかりに话し挂けた。
「はい?」
彼はこちらを见上げた。名は合っていたようだ。そういえば确か似たような名前の冒険者が主人公の小说があったが、まあ偶然だろう。本のモデルになるには少々若すぎる。
目が合って気付いたが、彼は今时珍しいほどの、鲜やかな碧眼の持ち主だった。
「良かったら、旅の话を闻かせてくれないか?」
