なんか、痛いなぁ。
　ふとそう思って久保田は、痛みを感じた右手人さし指の、第二関节に目をやる。
　真っ赤だった。
　亲指の腹で血を拭い取ると、细く直线に引かれた伤口が现れる。
　どうやら、新闻で切ったらしい。
　それに気付いてから改めて持っていた新闻を见ると、右手で开いていた裏侧に点々とシミが渗んでいた。
　新闻纸に付いた血は、赤というより黒に近い。
　アスファルトに落ちた血とよく似ている。
　そんな事をぼんやり考えている内に、また伤口からみるみる血が溢れてきた。
　血。
　俺の血だよなぁ。・・・案外绮丽だなぁ。生活不规则なのに。
　鲜やかな赤に见荡れるように、久保田はソファーに凭れたまま指を天井に翳す。
　彼の意识の中では、人间は内臓と血ばかりが一杯に诘まっている物体だ。
　じゃあココロというモノは何処に存在するんだろう、と常々思っている。
　感情を支配しているのは、勿论「脳」なのだが。
　つい最近、「何か感情を揺さぶる出来事があった时は、胸の辺りがギリギリと热くなって缔め付けられる」という事を知った。
　痛むのは、脳ではない。
　よって、やはり条例通り「ココロ」＝「ハート」という物は、心臓の管理下におかれているのではないか说というのが有力である。
　いや、脳がそういう指令を心臓に送っているのだろうが、その必要性が掴めない。
　不思议だなぁ。

「何やってんだよ、久保ちゃ・・・うぁ、痛ッ」
　リビングにゲームソフトを抱えて入って来た时任が、久保田の伤口を见るなり眉を潜めた。
「痛いの、俺だよ。何でお前が痛がんの」
「见てるだけで痛ぇんだよッ」
　眉间に皱を寄せたまま、时任はゲームソフトをガチャガチャとフローリングにまき散らす。
「早く拭けってば。バンソーコ使う？」
「うーん平気。」
　久保田は血の溢れる指を口元に运び、鉄臭い液体を舐め取った。
　ちょっと甘い気もする。
「・・・あ、まだ止まんない」
「駄目じゃん」
「生きてるんだなぁって事で」
「ダぁメだって。ソファーとか汚れるだろ。贴れ。贴るの。」
　时任がバンドエイドをずいと目の前に差し出す。ふとした処で用意周到なヤツだ。
　以前そう言ってやったら、「久保ちゃんと一绪にいると嫌でもしっかりしちまうんだ」と一刀両断されたので、もう言わない。
「ホンットに钝いよなぁ久保ちゃんは。自分の事になると」
　指を切った事にもしばらく気付かなかった久保田を新闻に残ったシミから见て取って、呆れたように时任が吐き舍てる。
「いーんだよ」
「よくない」
「谁が？」
「俺が。」
　时任は伟そうにふんぞり返って言った。彼の“伟そう”には、大概根拠がない。
　久保田の手はバンドエイドを素通りして、それを差し出している时任の腕を掴んだ。

「・・・久保ちゃん？」
「でも最近ね、なんとなく判って来た気がするのよ」
「・・・何が」
「痛いって事」

　久保田はそう言いながら时任の颜を覗き込んで、もとから细い目をさらに细める。
　そーゆー颜をされるとなんとなく耻ずかしくなって、时任は掴まれた腕を少し引いた。
　しかし思ったより握りは强く、久保田の手から逃れる事はなかった。

「世の中には色んな『痛い』があるんだなぁ、とか。
　　ああ、こーゆーの『痛い』ってゆーんだなー、とか」
「・・・・・・気付くのが思いっきり遅ぇよ」

　时任は舌打ちのように呟く。

「やっぱ遅いか」
「何年生きてんだよ、久保ちゃん」
「１年半」
「はぁ？」
「お前と逢ってからね」

　时任はしばらくその言叶を头で反刍して・・・これはもしかして无茶苦茶ハズい事を臆面もなく抜かしてるんじゃなかろーかこの男は、という结论に到り、途端に耳が热くなる。
　しかし咄嗟に言叶が出て来ず、耻ずかしさ余って掴まれた腕をブンブン振り回す。

「お、照れてる」
「〜〜〜〜〜っせぇ！离せスケベジジイ！！」
「・・・あいたたた」

　时任の腕を拘束していたのは伤のある右手で、仕方なく久保田はその手を离した。

「怪我人には优しくしよーよ」
「そんなの舐めときゃ直るッ！！」

　さっきとは全く正反対の事を叫びながら、时任は背を向けてＴＶの前に胡座をかいた。
　散らかしたゲームソフトを掻き集めて、背中から『ゲームすっから邪魔すんなオーラ』を吐き出しているのが见える。
　しかし、黒髪の隙间から覗く大きめの耳はまだ少し赤くて。
　
　・・・・・・なんだか、ねぇ？

　自分ではきっと気付かない、谁にも见せない柔らかな苦笑を浮かべて、久保田はその细い背中を见遣った。
　血とか、死とか、そんなの见饱きた程の日常の中で。
　こんな些细な伤が痛むんだ。なんだかねぇ。
　温もりの残るバンドエイドを伤口に卷きながら、久保田は「痛いなぁ」ともう一度だけ小さく呟いた。

　------------------痛んだのは伤口だったのか、それとも。

・・・ＥＮＤ

果然还是迟了啊
你都活多少年了啊，久保酱
一年半
啥？
是从遇见你开始呐
嘤嘤嘤好感动！！！！！！
太萌了！！！！
………突然起了翻译的念头……就我这个渣水平…-_-|||

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久保田和时任不都是二十岁咩～

久保真的情话十级呀😏

来晚了，不过真的很甜啊！