原帖
http://tieba.baidu.com/p/2715271096?pn=3#
61楼
原文
伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて
すべての戦いを终え、平和を取り戻したリディアとエドガー。息子のアルヴィンも生まれ、一家は改めてエドガーの両亲の领地を访ねるが…。文库未収录の短编を含む、爱いっぱいの后日谈。
「エドガー、ちょっといい?」
书斎を覗き込んだのは爱おしい妻だった。母亲になっても変わりなく、気遣いながら戸口でそっとエドガーを呼ぶ仕草は可爱らしい。やさしいピンクのドレスも、贵妇人らしく结い上げた髪を饰るお気に入りのリボンも、とてもよく似合っている。
エドガーは急いでペンを置き、立ち上がって彼女を迎えた。
「やあリディア、仆の颜を见に来てくれたのかい? 呼んでくれればいつでも駆けつけるのに」
「忙しそうだったから」
キャラメル色の髪に頬ずりして抱きしめると、幸せな心地になる。毎日がすばらしい。エドガーはしみじみとそう感じている。
「そうだ、おはようのキスがまだだったかな」
「したと思うわ」
「でもまだ午前中だ。何度でも挨拶はすべきだろう?」
さらに腕に力を入れようとすると、リディアは戸惑ったようにエドガーを押し戻した。
背后に乳母の姿がある。エドガーの息子を抱いて突っ立っている。使用人が见ている前では、いまだにリディアは耻ずかしがるのだから问题だ。いや、エドガーにとって好ましくない问题はそれだけではない。
「それより、ね、お父さまに朝のごあいさつをしなきゃってアルヴィンを连れてきたの」
「ああ、大事なことだ。でもまずはお母さまとお父さまが挨拶をすませないとね。いいかい、アルヴィン」
まだ一歳半ばのアルヴィンは、きょとんとした颜で両亲を见ているだけだ。
しかし最大の问题はそこだ。リディアは、子供の前ではなおさらエドガーがべたべたするのを嫌うのだ。
ひるむもんか、とエドガーは思っている。子供は大切だ。しかしここで退いたりしたら、この先ずっと、好きなときにリディアに触れることができなくなってしまうではないか。
エドガーのかたくなな决意を感じ取ったのか、リディアはため息をついて力を抜いた。
しばらくして、やっとエドガーが妻を离したときには、まだ雇われて新しい乳母は必死でよそ见をしていたが、アルヴィンはエドガーを见てうれしそうに笑った。
「おはよう、アルヴィン。さあ、きみの番だ。ご机嫌はいかがかな?」
抱き上げて、頬にキスをする。小さな我が子もそうしてくれる。金色の巻き毛に蔷薇色の頬、青い瞳もまるで絵画の中から出てきた天使のようだ。
友人たちは皆、エドガーによく似ていると言うが、子供の顷自分がこんなふうだったかどうか自分ではわからない。もう、それを教えてくれる人もいない。
そんなことを思うと感伤的になってしまうが、失ったものは多くても、新たに得たものを感谢したい。そのためにも、そろそろシルヴァンフォードの土を踏まねばならないだろう。
「アルヴィン、外出用の服を着せてもらったのか。出かけるのかい?」
「ええ、これからロタのところへ行く予定なの。アルヴィンもつれていこうと思って」
リディアの日常もずいぶん変わった。子供が生まれたことはもちろん、公爵夫人としての役割は、以前よりずっと重いものだ。そんな中、ロタと过ごすことは彼女がただのリディアに戻れるときだから、エドガーはなるべく快く送り出すようにしている。
できれば引き止めておきたいと思うときもあるが、自分はいつでもリディアを独占できる。
一方ロタは、自由気ままな性格だ。いつかどこかへ、ふらりと行ってしまいかねない。だから、二人の友情のじゃまはしないでおこう。そう思うのは、ロタやその周辺にも変化が访れつつあるからだろう。
「大公のおかげんはいかがなのかな」
「このごろ少しはいいそうよ」
「そう、よろしく言っておいてくれ」
「ええ、じゃあ行ってまいります」
エドガーの腕からアルヴィンを抱き上げたリディアは、乳母とともに书斎を出ていった。
*
シルヴァンフォード公爵、エドガー・アシェンバートのタウンハウスは、ロンドンのメイフェアにある。ほんの一年前は伯爵邸と呼ばれていた彼の屋敷は、今では公爵邸となり、访れる人もずいぶんと増えた。彼の社会的な地位も増し、いくつかの名誉职を得るようになったからだ。
それでもエドガー自身は、まだ自分がシルヴァンフォード公爵を名乗っているという実感が少ない。
シルヴァンフォードへ赴き、すべての现状を受け止めてこそ、今の自分と过去のあの事件がつながる。そのときようやく、シルヴァンフォードを取り戻したことになるのだろう。
そろそろ、あの地を访れるべきだ。
公爵位を得た直后は、リディアの出产がせまっていた。シルヴァンフォードへの帰郷は、妻子といっしょでなければならないと考えていたエドガーは、その后アルヴィンを小旅行に连れていけるようになるまで待つことにした。
そして今、ようやく准备が整いつつある。
http://tieba.baidu.com/p/2715271096?pn=3#
61楼
图片来自:芳野葛薄蛍的百度相册
原文
图片来自:芳野葛薄蛍的百度相册
伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて
すべての戦いを终え、平和を取り戻したリディアとエドガー。息子のアルヴィンも生まれ、一家は改めてエドガーの両亲の领地を访ねるが…。文库未収录の短编を含む、爱いっぱいの后日谈。
「エドガー、ちょっといい?」
书斎を覗き込んだのは爱おしい妻だった。母亲になっても変わりなく、気遣いながら戸口でそっとエドガーを呼ぶ仕草は可爱らしい。やさしいピンクのドレスも、贵妇人らしく结い上げた髪を饰るお気に入りのリボンも、とてもよく似合っている。
エドガーは急いでペンを置き、立ち上がって彼女を迎えた。
「やあリディア、仆の颜を见に来てくれたのかい? 呼んでくれればいつでも駆けつけるのに」
「忙しそうだったから」
キャラメル色の髪に頬ずりして抱きしめると、幸せな心地になる。毎日がすばらしい。エドガーはしみじみとそう感じている。
「そうだ、おはようのキスがまだだったかな」
「したと思うわ」
「でもまだ午前中だ。何度でも挨拶はすべきだろう?」
さらに腕に力を入れようとすると、リディアは戸惑ったようにエドガーを押し戻した。
背后に乳母の姿がある。エドガーの息子を抱いて突っ立っている。使用人が见ている前では、いまだにリディアは耻ずかしがるのだから问题だ。いや、エドガーにとって好ましくない问题はそれだけではない。
「それより、ね、お父さまに朝のごあいさつをしなきゃってアルヴィンを连れてきたの」
「ああ、大事なことだ。でもまずはお母さまとお父さまが挨拶をすませないとね。いいかい、アルヴィン」
まだ一歳半ばのアルヴィンは、きょとんとした颜で両亲を见ているだけだ。
しかし最大の问题はそこだ。リディアは、子供の前ではなおさらエドガーがべたべたするのを嫌うのだ。
ひるむもんか、とエドガーは思っている。子供は大切だ。しかしここで退いたりしたら、この先ずっと、好きなときにリディアに触れることができなくなってしまうではないか。
エドガーのかたくなな决意を感じ取ったのか、リディアはため息をついて力を抜いた。
しばらくして、やっとエドガーが妻を离したときには、まだ雇われて新しい乳母は必死でよそ见をしていたが、アルヴィンはエドガーを见てうれしそうに笑った。
「おはよう、アルヴィン。さあ、きみの番だ。ご机嫌はいかがかな?」
抱き上げて、頬にキスをする。小さな我が子もそうしてくれる。金色の巻き毛に蔷薇色の頬、青い瞳もまるで絵画の中から出てきた天使のようだ。
友人たちは皆、エドガーによく似ていると言うが、子供の顷自分がこんなふうだったかどうか自分ではわからない。もう、それを教えてくれる人もいない。
そんなことを思うと感伤的になってしまうが、失ったものは多くても、新たに得たものを感谢したい。そのためにも、そろそろシルヴァンフォードの土を踏まねばならないだろう。
「アルヴィン、外出用の服を着せてもらったのか。出かけるのかい?」
「ええ、これからロタのところへ行く予定なの。アルヴィンもつれていこうと思って」
リディアの日常もずいぶん変わった。子供が生まれたことはもちろん、公爵夫人としての役割は、以前よりずっと重いものだ。そんな中、ロタと过ごすことは彼女がただのリディアに戻れるときだから、エドガーはなるべく快く送り出すようにしている。
できれば引き止めておきたいと思うときもあるが、自分はいつでもリディアを独占できる。
一方ロタは、自由気ままな性格だ。いつかどこかへ、ふらりと行ってしまいかねない。だから、二人の友情のじゃまはしないでおこう。そう思うのは、ロタやその周辺にも変化が访れつつあるからだろう。
「大公のおかげんはいかがなのかな」
「このごろ少しはいいそうよ」
「そう、よろしく言っておいてくれ」
「ええ、じゃあ行ってまいります」
エドガーの腕からアルヴィンを抱き上げたリディアは、乳母とともに书斎を出ていった。
*
シルヴァンフォード公爵、エドガー・アシェンバートのタウンハウスは、ロンドンのメイフェアにある。ほんの一年前は伯爵邸と呼ばれていた彼の屋敷は、今では公爵邸となり、访れる人もずいぶんと増えた。彼の社会的な地位も増し、いくつかの名誉职を得るようになったからだ。
それでもエドガー自身は、まだ自分がシルヴァンフォード公爵を名乗っているという実感が少ない。
シルヴァンフォードへ赴き、すべての现状を受け止めてこそ、今の自分と过去のあの事件がつながる。そのときようやく、シルヴァンフォードを取り戻したことになるのだろう。
そろそろ、あの地を访れるべきだ。
公爵位を得た直后は、リディアの出产がせまっていた。シルヴァンフォードへの帰郷は、妻子といっしょでなければならないと考えていたエドガーは、その后アルヴィンを小旅行に连れていけるようになるまで待つことにした。
そして今、ようやく准备が整いつつある。