【采访】田中哲司　「キツさがおもしろい」

１９５８年のある日、米ニューヨークの有名レストランに饰るための巨大壁画のオファーを受けたロスコ（田中）のアトリエに、画家志望の青年ケン（小栗）が助手として雇われてきた。絵画制作の中で、芸术や社会を巡る二人の葛藤や确执、それぞれの苦悩が描かれる。
　モチーフは、ロンドンの美术馆テイト・モダンの「ロスコ・ルーム」にある「シーグラム壁画」。何层にも涂り重ねられた赤い絵肌が独特の作品である。ローガンは、ロスコの作品や人生をリサーチして、架空の人物ケンを登场させて创作した。初演は２００９年のロンドン。米ブロードウェーでも上演され、今回が日本初演となる。
　これまでも「浮标（ぶい）」「冒（おか）した者」といった骨太な作品に出演、卓越したセリフで観客を揺さぶってきた田中。今回は、稽古に入る前から、台本を読み込んでいたという。「稽古初日からやり始めたら间に合わないなと思って。器用っぽく见せてるけど、不器用なので」
　さらに、ＤＩＣ川村记念美术馆（千叶県佐仓市）で展示されているロスコの作品を见に行ったという。
　「暗いなあと思った。そこだけ雰囲気が违うんですよね。けれど、それを见ると戯曲に书かれていることがよく分かる。决してきれいなものとして描いてないんです」
　ロスコの絵は当初シュールレアリスムの影响が强かったが、４０年代から抽象表现主义の独自のスタイルを确立していく。「気高い人って感じがします。伤つきやすい。だからこそ虚势を张ってるような気がする。本当はすごく弱い感じがプンプンします」

壁画が完成するまでの间に、ロスコとケンの関系も次第に変化していく。そのセリフのやりとりは、スリリングでさえある。
　「楽しいところの一つです。ケンに教えられることが结构ある。でも、ロスコはそれを认めない、独自の道を行くみたいな感じがあるんです。小栗君とはラリーをやっている感じ。役者同士のぶつかり合いを见てほしいですね」
　「ＲＥＤ」の后には、また二人芝居「オレアナ」が控える。
　「舞台はしんどいですよね。つらいなあって思うこともあるけど、でも舞台出身ですので、そこは大切にしています」
　何层にも重なるセリフは、剧场にどんな絵を描いてみせてくれるのだろうか。