賞味期限
旨味が直に伝わってくる一語。聞いただけ、食指が動く。商売に用いる言葉なのに、堅苦しさを感じない。

肌身離さず
大切なものだから、離さず持っている。体の一部のように用心深く扱う印象が強い。貴重品であることがよりよく表現できる。

花を摘む
言わば、お嬢様言葉。リアルでは使う人はいるかと、疑問に思うところは山々だが、上品な言葉遣いであるのは確かだ。美しさと言えば、花と乙女に越したことはない。お手洗いに行くことをさらに婉曲に表現できたのも利点だ。

素直
私も中国人も素直さに欠けるかもしれない。中国語には似たような表現があるだけど、どれも理的なイメージが強い。それらの表現に引きかえ、素直というのは、気持ちの問題、自分の真心に従うという意味合い。

透き通る、澄みきる
すごく綺麗な言葉。これは私がこの二つの単語を耳にした途端に、思い浮かんだ感想だった。「透明」「清澈」と中国語に言い換えることができるかもしれないが、どこか微妙に違う。これは言葉のあやっていうやつか。

意地悪
意地っていうのは実に奇妙な言葉だ。どう訳しても、ニュアンスが まったく伝わってこない。それに、意地悪と言うと、悪意のイメージが希薄で、むしろ悪戯のような愛らしさを感じなくもない。

悔しい
負け惜しみと腹立ちをこれほどうまく表現できる言葉はそうそういないだろ。和語において基礎的な概念表す一語だが、実は複雑な心理活動を巧 みに描いている。簡潔な仕組 みに複雑な内面。

心持ち
研究したわけではないが、日本語に複合副詞の数は少ないと言える。中には名詞ペラス名詞の形をしている複合副詞の数が圧倒的に少ない。私の知る限り、心持ちという一語だった。心持ちは副詞的にわずか、ほんの少しとの意味合い。心持ちって、心に少し引っ掛かったくらいにそう感じさせられる印象がする。

不潔
不潔、すなわち「汚」である。「汚」より、響きがよい。蔑むような目線が 何となく伝わってくる。遠回しのところも気に入る。

八つ当たり
当たるって、実に多義の一語だ。風にも当たるし、クーラーにも当たるし、とても便利なんだ。そして、自分の怒りを四方八方にぶつけるのが八つ当たり。この言葉はその場の情景を生き生きと再現することができる。

罵る…

潮時
好機、時期、頃合い、いくつも該当する言葉はあるが、美しさに欠ける。抽象的意味と生き生きしたイメージの連結こそ、美しい言葉の真の形。