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ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚

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来自iPhone客户端1楼2016-02-19 09:48回复
    久世ツグミ 「じゃあ隼人、今日はお疲れ様でした。
    風邪をひかないように、ちゃんと温まってね」
    尾崎隼人 「……お疲れ」
    私が微笑んで、女子浴室の扉を閉めようとした
    その時だった。
    久世ツグミ 「あ……!?」
    尾崎隼人 「……んっ……」
    久世ツグミ 「……は、やと……っ?」
    尾崎隼人 「……いきなりでごめん。でも濡れたお前を
    見てたら……昨夜を思い出して触れたくなった」
    久世ツグミ 「……!」
    再び唇が重なり、冷え切った躯がそこだけ
    甘く疼いた。
    尾崎隼人 「こんな……大変な時に俺も相当ろくでなしだなって思うけど……」
    尾崎隼人 「今日はずっとお前がちらついて……耳元で、また
    あの甘い声が聞こえるような気がして……」
    尾崎隼人 「……今日は巡回が独りで良かった。
    もしずっと一緒にいたら……襲ってた」
    薄暗いその場所に私達の声と息遣いだけが響いて
    羞恥にまた体温が上がる。


    来自iPhone客户端2楼2016-02-19 09:48
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      ぶつぶつと呟きながら裏庭を歩いてた時だった。
      久世ツグミ「……え!?」
      不意に、薄闇に青っぽい炎が見えた気がして躯が竦む。
      少し先に目を懲らすと、誰かが何かを燃やしている。
      黒っぽい人影は、小柄な男性に思えた。
      久世ツグミ(すぐ側に、焼却炉があるのに……?)
      私が不審に思った時だった。
      その人影の足下に、鬼火のようにまた炎が灯る。
      一つ、また一つ。
      久世ツグミ「きゃ、きゃぁぁ……───!?」
      星川翡翠「……っ!?」
      男の子だろうか、女の子だろうか。
      夜目にはどちらにも見える。
      そうしている間にも、その人の足下の炎は
      いよいよ大きく燃え上がり、夜の裏庭を照らす。
      まるで、鬼火のようだ。
      不思議な色の炎が、彼の周囲で踊る。
      得体の知れない───でも
      目を離せない美しさがあった。
      星川翡翠 「あれ、もしかして貴女……
      今日から入った新しい方ですか」
      問われて、私はやっと気付いた。
      形は少し違うけれど、朱鷺宮さんや尾崎さんのような制服を身につけている。
      星川翡翠 「驚かせてしまって申し訳ありませんでした。
      僕は星川翡翠と言います。フクロウの一員です」


      来自iPhone客户端4楼2016-02-19 09:50
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        汀紫鶴 「ボンジュール! そこの可愛いマドモアゼル!
        金魚は如何ですか?」
        久世ツグミ「!?」
        いきなり声をかけられ、私はびくりと後ろに飛び退いた。
        汀紫鶴 「ああ、そんな逃げないで。
        この辺りじゃ見掛けない顔だけど、
        もしかして近くに引っ越してきたの?」
        久世ツグミ「あ、あの……」
        汀紫鶴 「何なら家まで金魚を運んであげるよ。
        どのあたり?」
        久世ツグミ「…………」
        久世ツグミ (どうしよう……軽薄そうだし、
        住んでいるところは教えない方がいいわよね)
        久世ツグミ 「あの……家は遠いんです、ちょっと用事で来たものですから……」
        汀紫鶴 「何だ、そうなのか。じゃあ、金魚は無理かなぁ」
        久世ツグミ 「そうですね、申し訳ありません。
        では私はこれで……」
        汀紫鶴 「待った! つれないなぁ、陽も暮れてきたし
        これから僕と一緒にカフェでお茶でもどう?」
        久世ツグミ「お断りします」
        汀紫鶴 「えー」


        来自iPhone客户端5楼2016-02-19 09:51
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          尾崎隼人 「……初めまして、鵜飼昌吾君。
          俺は尾崎隼人と言います」
          鵜飼昌吾「貴様の名前は聞いてない」
          星川翡翠「…………」
          余りのことに、普段は温厚な翡翠が眉をひそめたのが分かった。
          滉は無言だけれど、滲み出る気配が既に不穏だ。
          尾崎隼人 「音楽鑑賞は素晴らしい趣味だと思います。
          が、廊下にまで音が筒抜けです」
          鵜飼昌吾「この程度でか? このアパートの壁は相当薄いんだな」
          尾崎隼人 「そうですね。君が住んでいた首相官邸とは大分違うでしょうね。
          でも今日からここで暮らすのでは?」
          鵜飼昌吾 「僕の意思じゃない。
          勝手にここに連れてこられただけだ」
          そう言って───まるでこれ以上の会話を拒むかのように、
          鵜飼さんはふいと顔を背けた。


          来自iPhone客户端7楼2016-02-19 09:53
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            久世ツグミ 「ここを通るのは久し振り。独りだとやっぱり少し怖くて。
            近道なのは分かるのだけれど」
            星川翡翠 「不気味と言えば不気味ですよね。
            僕は慣れてしまったので急いでいる時とか、雨の日は使います」
            久世ツグミ 「雨の日! 確かにそれはいいか……きゃぁっ!?」
            星川翡翠 「危ない!! あ……うわぁっ!?」
            久世ツグミ 「きゃ……!?」
            久世ツグミ 「……!?」
            星川翡翠 「あ……っ」
            久世ツグミ 「ご、ごめんなさ……っ」
            咄嗟に躯を離そうとしたものの、その背中を
            思い掛けず強い力で押さえ込まれた。
            久世ツグミ 「……翡翠?」
            星川翡翠 「……駄目です」
            そう言った翡翠の眼差しは、先刻のそれとは違っていた。
            ランプの、くすんだオレンジ色の光を映して
            翠と紅の瞳が熱っぽく煌めいている。
            久世ツグミ 「あ、あの……翡翠……っ」
            星川翡翠 「……大丈夫です。僕は貴女を汚したりは……しない」
            久世ツグミ (……汚したりはしないと言うのは……)
            その言葉の意味を考えようとして、
            私は自分を恥じた。
            そんな私の髪に翡翠の指がそっと絡む。
            この間、本を開いてしまって心配された時よりも更に顔が近い。
            星川翡翠 「……本当に、何も……しませんから」
            誰かの顔をこんな近くで見たのは初めてで、
            恥ずかしさから力が抜けてしまいそうだ。
            久世ツグミ 「……翡翠、あの……」
            私達の唇はもう触れ合いそうな程に近く、
            お互いの吐息をはっきりと感じる。
            星川翡翠 「……もう少し、逃げないで下さい」


            来自iPhone客户端8楼2016-02-19 09:53
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