『膝上10cm』
「ほらぁ加奈ちゃん、だいたいみんなこれくらいだって」
とニヤニヤと笑いながら椎名真由美が示した高さに、スカート丈を合わせてみた。
――绝対うそだ、と伊里野は思った。
短い、なんてものではなかった。ものすごく短かった。とんでもなく短かった。これまでにはいたどんなスカートよりも丈が短かった。
知识としては、これくらい短いスカートをはいている人たちもいる、というのは知っていたが、やはり自分ではいてみると、どうしようもなく短かった。
というか、いくらなんでもこの短さはないだろう、と思った。この长さだったら、风が吹いただけでも下着が见えてしまう気がする。いや、むしろ确実に见える。というか、绝対に见える。どう考えても、见えないはずがない。高低差がある场合、例えば阶段などではどうするのだろう。手で抑えるのか。抑えるといっても、そもそも布の面积そのものが少ないのだから、効果があるかどうかは疑问だ。ただの気休めにしかならない、と思う。
だから、スカート丈をこんな长さにするのは明らかに不合理だ。
でも。
「うんうん。加奈ちゃん似合うじゃない。やっぱりこんなもんじゃない?」
と、椎名真由美は言った。
伊里野としては、こういうことを相谈できる相手は椎名しかいない。いや、椎名真由美以外の人间に相谈できないわけではない。だが、他の谁に闻いてみても口调に多少の违いこそあれ、
『あー、そういうのは椎名さんに闻くと良いと思うよ?』
と、返されるのだ。
确かに、伊里野も椎名真由美がこういったことに向いているのを认めないわけではない。
椎名真由美は夏休みが始まる一月ほど前から保険医として园原中学校に通っている。つまり、大抵の基地の人间より、少なくとも伊里野よりは园原中学校の生徒の服装をよく见ているはずだ。何より、椎名真由美は今まで、こういった服装やらなにやら、细々とした事で相谈に乗ってくれていたのだ。
だから、椎名真由美に相谈することは非常に适切な、もしくはベターな选択だといえるのだ。
だが。
だがしかし。
「なぁに加奈ちゃん。やっぱり気になる?」
伊里野は颔いた。
腿のあたりがスースーする。何故かものすごく不安な気持ちになる。
「うーん、でもみんなだいたいこんなもんだよ、って、あんまり见たことないんだよね……」
むー、と椎名真由美は考え込むようなそぶりを见せた。
と、壁际でそんな二人の様子を黙って见ていた榎本に、
「ねぇ、頼んでおいたアレあったでしょ。どう? 上手く撮れてる? ああ、じゃ、今すぐ持ってきて。加奈ちゃんに见せるから。速く」
榎本は亿劫そうに颔いて、部屋を后にした。その背に、椎名真由美の「速く。駆け足!」という声がかけられる。
しばらくして榎本は戻ってきた。手には何枚かの写真を持っている。
「遅い!」
椎名真由美はその写真をもぎ取るように夺うと、
「え~~と、」
などと言いながら手早く目を通す。
そして、2、3枚の写真を伊里野に示し、
「ほらほら、やっぱりみんなこれくらいだって」
见た。
写真には、一枚につき2、3人の伊里野と同年代の女子が写っていた。今伊里野が来ているものと同じ制服を着ているから、园原中学校の生徒なのだろう。隠し撮りしたのだろうか、少しピントがずれていたりやや远距离からのものになっていて细部が见难かったりしていたが、そんな事は些细な事だった。
确かにスカート丈は短かった。膝が见えているどころか、腿の半ばまで见えているような人もいた。
だが、実际にどれくらいの长さなのかはぱっと见では分からない。そういうことにしておく。决して、信じたくないわけではない。
「ほらぁ加奈ちゃん、だいたいみんなこれくらいだって」
とニヤニヤと笑いながら椎名真由美が示した高さに、スカート丈を合わせてみた。
――绝対うそだ、と伊里野は思った。
短い、なんてものではなかった。ものすごく短かった。とんでもなく短かった。これまでにはいたどんなスカートよりも丈が短かった。
知识としては、これくらい短いスカートをはいている人たちもいる、というのは知っていたが、やはり自分ではいてみると、どうしようもなく短かった。
というか、いくらなんでもこの短さはないだろう、と思った。この长さだったら、风が吹いただけでも下着が见えてしまう気がする。いや、むしろ确実に见える。というか、绝対に见える。どう考えても、见えないはずがない。高低差がある场合、例えば阶段などではどうするのだろう。手で抑えるのか。抑えるといっても、そもそも布の面积そのものが少ないのだから、効果があるかどうかは疑问だ。ただの気休めにしかならない、と思う。
だから、スカート丈をこんな长さにするのは明らかに不合理だ。
でも。
「うんうん。加奈ちゃん似合うじゃない。やっぱりこんなもんじゃない?」
と、椎名真由美は言った。
伊里野としては、こういうことを相谈できる相手は椎名しかいない。いや、椎名真由美以外の人间に相谈できないわけではない。だが、他の谁に闻いてみても口调に多少の违いこそあれ、
『あー、そういうのは椎名さんに闻くと良いと思うよ?』
と、返されるのだ。
确かに、伊里野も椎名真由美がこういったことに向いているのを认めないわけではない。
椎名真由美は夏休みが始まる一月ほど前から保険医として园原中学校に通っている。つまり、大抵の基地の人间より、少なくとも伊里野よりは园原中学校の生徒の服装をよく见ているはずだ。何より、椎名真由美は今まで、こういった服装やらなにやら、细々とした事で相谈に乗ってくれていたのだ。
だから、椎名真由美に相谈することは非常に适切な、もしくはベターな选択だといえるのだ。
だが。
だがしかし。
「なぁに加奈ちゃん。やっぱり気になる?」
伊里野は颔いた。
腿のあたりがスースーする。何故かものすごく不安な気持ちになる。
「うーん、でもみんなだいたいこんなもんだよ、って、あんまり见たことないんだよね……」
むー、と椎名真由美は考え込むようなそぶりを见せた。
と、壁际でそんな二人の様子を黙って见ていた榎本に、
「ねぇ、頼んでおいたアレあったでしょ。どう? 上手く撮れてる? ああ、じゃ、今すぐ持ってきて。加奈ちゃんに见せるから。速く」
榎本は亿劫そうに颔いて、部屋を后にした。その背に、椎名真由美の「速く。駆け足!」という声がかけられる。
しばらくして榎本は戻ってきた。手には何枚かの写真を持っている。
「遅い!」
椎名真由美はその写真をもぎ取るように夺うと、
「え~~と、」
などと言いながら手早く目を通す。
そして、2、3枚の写真を伊里野に示し、
「ほらほら、やっぱりみんなこれくらいだって」
见た。
写真には、一枚につき2、3人の伊里野と同年代の女子が写っていた。今伊里野が来ているものと同じ制服を着ているから、园原中学校の生徒なのだろう。隠し撮りしたのだろうか、少しピントがずれていたりやや远距离からのものになっていて细部が见难かったりしていたが、そんな事は些细な事だった。
确かにスカート丈は短かった。膝が见えているどころか、腿の半ばまで见えているような人もいた。
だが、実际にどれくらいの长さなのかはぱっと见では分からない。そういうことにしておく。决して、信じたくないわけではない。