【光也自译】童话集--山村暮鸟《散落飘零·满盈》之《海的故事》
海的故事
某处乡村有户穷苦的农民。一家虽穷苦,却亲切友善。今年燕子也在他们家的门楣筑巢,育了四五只雏儿。
那天从早上就下起雨来。
巢中,母燕把头深埋进胸毛,似睡未睡,闭着眼一动不动,一只雏儿担心问道:
“妈妈,你在做什么?欸,你怎么了?”
“什么也没做。妈妈呀。正在想事。”
于是,别的雏儿问:
“想什么呢?”
“那个呀……哎呀,怎么说好呢。你们快些长大,趁这地方冷冷的风没吹来,雪没落下时,就回到远远的故乡的家啊。而回到那远远的故乡的家,不得不经历漫长的旅途。那个呀,有森林和树丛的地方还好,要在累了也不能收拢羽翼,饿了也没有一样可食,广阔无垠的,每日每晚,昼夜展翅不花十天八天都越不过的大海上飞啊。”
“哎呀!”听到这雏儿们惊了。
“所以呀,羽翼孱弱的和身体不健壮的都会在途中可怜地落海死掉啊。”
“帮它就好了”性急的插嘴道。
“可是呀,那办不到。因为不管谁都得自我独立啊。都得拼尽全力。要帮助别人自己也难免一起死掉。那样毫无用处吧。真的在那里既无法救助也无法获救。一个一个简直薄情。只能靠自己。除此无他,嗯?”
“不过,假如妈妈飞不动了,我,死也无妨,要去救你。”
“是吗?谢谢。但是呀,平安地越过那蓝蓝的大海,再从陆地深切回望,那心情……只有那时,才能忘记不知何时失去的朋友和亲人,放下心来。啊,那喜悦……”
“好想快点去看啊。”
“我也想去啊,喂,妈妈。”
“嗯,嗯。谁都不丢下。一个不落下。不过呀,听好啦,到那以前你们要长大,而且要出色地成长啊。要有健壮的身体和强劲的羽翼!知道吗?”
“嗯。”
“嗯。”
“嗯。”
小嘴一齐回答道。母燕情不自禁一把抱住大家:
“怎么这么可爱喔。”
海の話
或(あ)る農村(のうそん)にびんぼうなお百姓(ひやくせう)がありました。びんぼうでしたが深切(しんせつ)で仲(なか)の善(よ)い、家族(かぞく)でした。そこの鴨居(かもゐ)にことしも燕(つばめ)が巣(す)をつくつてそして四五羽(は)の雛(ひな)をそだててゐました。 その日(ひ)は朝(あさ)から雨(あめ)がふつてゐました。 巣(す)の中(なか)で、胸毛(むなげ)にふかく頸(くび)をうづめた母燕(おやつばめ)が眠(ねむ)るでもなく目(め)をつぶつてじつとしてゐると雛(ひな)の一つがたづねました。「母(かあ)ちやん、何(なに)してるの。え、どうしたの」 と、しんぱいして。「どうもしやしません。母(かあ)ちやんはね。いま考(かんが)え事(ごと)をしてゐたの」 すると、他(ほか)の雛(ひな)が「かんがえごとつて何(なあに)」「それはね……さあ、何(なん)と言(ゆ)つたらいいでせう。あんた達(たち)がはやく大(おほ)きくなると、此(こ)の國(くに)にさむいさむい風(かぜ)が吹(ふ)いたり、雪(ゆき)がふつたりしないうちに遠(とほ)い遠(とほ)い故郷(こきやう)のお家(うち)へかえるのよ。そして遠(とほ)い遠(とほ)いその故郷(こきやう)のお家(うち)へかえるには、それはそれは長(なが)い旅(たび)をしなければならないの。それがね、森(もり)や林(はやし)のあるところならよいが、疲(つか)れても翼(はね)をやすめることもできず、お腹(なか)が空(す)いても何(なに)一つ食(た)べるものもない、ひろいひろい、それは大(おほ)きな、毎日(まいにち)毎晩(まいばん)、夜(よる)も晝(ひる)も翅(か)けつづけで七日(か)も十日(か)もかからなければ越(こ)せない大(おほ)きな海(うみ)の上(うへ)をゆくのよ」「まあ」と、それを聽(き)いて雛(ひな)達(たち)はおどろきました。「それだからね、翼(はね)の弱(よわ)いものや體(からだ)の壯健(たつしや)でないものは、みんな途中(とちう)で、かわいさうに海(うみ)に落(お)ちて死(し)んでしまふのよ」 氣速(きばや)なのが「たすけたらいい」と横鎗(よこやり)をいれました。「ところがね、それが出來(でき)ないの。なぜつて、誰(だれ)も彼(かれ)も自分(じぶん)獨(ひと)りがやつとなのよ。みんな一生懸命(いつしやうけんめい)ですもの。ひとを助(たす)けやうとすれば自分(じぶん)もともども死(し)んでしまはねばならない。それでは何(なん)にもならないでせう。ほんとに其處(そこ)では助(たす)けることも助(たす)けられることもできない。まつたく薄情(はくじやう)のやうだが自分々々(じぶん/″\)です。自分(じぶん)だけです。それ外(ほか)無(な)いのさ、ね」「でも、もし母(かあ)ちやんが飛(と)べなくなつたら、僕(ぼく)、死(し)んでもいい、たすけてあげる」「そうかい、ありがとう。だけどね、またその蒼々(あを/\)とした大(おほ)きな海(うみ)を無事(ぶじ)にわたり切(き)つて、陸(をか)からふりかへつてその海(うみ)を沁々(しみ/″\)眺(なが)める、あの氣持(きもち)つたら……あの時(とき)ばかりは何時(いつ)の間(ま)にかゐなくなつてゐる友達(ともだち)や親族(みうち)もわすれて、ほつとする。ああ、あの嬉(うれ)しさ……」「はやく行(い)つて見(み)たいなあ」「わたしもよ、ね、母(かあ)ちやん」「ええ、ええ。誰(だれ)もおいては行(ゆ)きません。ひとり殘(のこ)らず行(ゆ)くのです。でもね、いいですか、それまでに大(おほ)きくそして立派(りつぱ)に育(そだ)つことですよ。壯健(たつしや)な體(からだ)と強(つよ)い翼(はね)! わかつて」「ええ」「ええ」「ええ」 と小(ちい)さい嘴(くち)が一齊(せい)にこたへました。母燕(おやつばめ)はたまらなくなつて、みんな一しよに抱(だ)きしめながら「何(なん)てまあ可愛(かあい)んだろ」