「許可するのはいいとして……」
父さんは少し言いにくそうに続ける。
「相手はどうするつもりだ? 子供はひとりで作れるものじゃないだろう」
「そ、それは……」
「もしかして、アリスはもうそういう相手が居るのか……?」
「い、いないよ、そんなの!? ……そのことで、父さんに相談があるんだ」
父さんに人工授精や体外受精のことを相談した。
俺の書類上の生誕地である東欧の国。詳しい理由は知らないけど、父さんはその国でいろいろと融通を利かせることができるようだった。
俺の身分まで偽造したのだから、人工授精くらいなんとかなるんじゃないか――そう思っていた。
「それは、難しいな」
だけど、父さんの返答は否定的なものだった。
「あの国では宗教上の理由で自然妊娠以外認められていないんだ。他の国をあたるにしても、お前の年齢で合法的なものは無理だろうな。この分野で非合法のものになると……難しいと思う」
「そっかぁ……」
困った。あてが外れた。
そうなると、妊娠するために取れる手段はひとつしかないか。
「それで、お前はどうするつもりなんだ?」
「アリス……」
みんなが俺の顔を心配そうに見てくる。
人工授精でなんとかなるとだろうと思っていたから、代案を考えてなかったとはとても言いだせない雰囲気だ。
「ご、ごめん……ちょっとトイレ」
俺は立ち上がって席を外して、そそくさと廊下に出た。トイレに入り、下着を下ろして座る。
「……ふぅ」
トイレで用を足しながら考えにふける。
「早く決めないといけないんだよな……」
翡翠から聞いた話によると、生理というものは排卵日から約二週間で来るらしい。
排卵日に産まれた卵子が24時間くらいの間に精子と出会って受精することで妊娠し、受精しなかった卵子は生理のときに体外に排出される。
生理周期が一定していないのは、女性ホルモンだかなんだかの影響で排卵日がずれるのが原因のようだ。
つまり、生理周期が不安定な俺は、今日が排卵日で妊娠できる可能性も有り得るということだった。
「本当は今すぐにでも妊娠を試みた方がいいんだろうけど……」
アリシアを救うために俺に与えられた妊娠の機会は限られている。
「去年まであれだけ無駄にしてきた精子を欲しくなる日が来るなんて……」
体を前方に折り曲げて肘をつくと、用を足すために下ろしたショーツとナプキンが視界に入る。いつ生理が来ても大丈夫なようにつけている薄いやつだ。
もちろんまだ生理は来ていなかった。
「妊娠かぁ……」
人工授精を頼れない以上、誰かに種を貰う必要がある。それは、つまりセックスするということで……
「こんなことを誰に頼めるってんだよ……」
幸い異世界人とこの世界の人との間で子供が産まれることは実証されている。過去に俺と同じ方法で異世界に召喚された勇者が、あちらに残って子孫を残しているという話をアリシアから聞いたことがあった。
だから、相手は異世界人に限られるといったことはない。
問題となるのは、知り合いに頼むのか、それとも知らない人に頼むのか、だ。
心情的にはやっぱり知り合いの方が安心できる。
だけど、アリシアの魂を移すとはいえ、普通の認識では相手を父親にしてしまうことを考えると気軽にお願いできることではない。
それに、俺が求めるのは子作りのためのセックスだ。誘うにしても、積極的に生で中出しを求めることになる。それって、普通に考えてありえないと思う、俺なら怖い。
生理がまだ来てないことにしようにも、授業中の教室で初潮が来たことは学校では割りと知られている話だと思うし……
父さんは少し言いにくそうに続ける。
「相手はどうするつもりだ? 子供はひとりで作れるものじゃないだろう」
「そ、それは……」
「もしかして、アリスはもうそういう相手が居るのか……?」
「い、いないよ、そんなの!? ……そのことで、父さんに相談があるんだ」
父さんに人工授精や体外受精のことを相談した。
俺の書類上の生誕地である東欧の国。詳しい理由は知らないけど、父さんはその国でいろいろと融通を利かせることができるようだった。
俺の身分まで偽造したのだから、人工授精くらいなんとかなるんじゃないか――そう思っていた。
「それは、難しいな」
だけど、父さんの返答は否定的なものだった。
「あの国では宗教上の理由で自然妊娠以外認められていないんだ。他の国をあたるにしても、お前の年齢で合法的なものは無理だろうな。この分野で非合法のものになると……難しいと思う」
「そっかぁ……」
困った。あてが外れた。
そうなると、妊娠するために取れる手段はひとつしかないか。
「それで、お前はどうするつもりなんだ?」
「アリス……」
みんなが俺の顔を心配そうに見てくる。
人工授精でなんとかなるとだろうと思っていたから、代案を考えてなかったとはとても言いだせない雰囲気だ。
「ご、ごめん……ちょっとトイレ」
俺は立ち上がって席を外して、そそくさと廊下に出た。トイレに入り、下着を下ろして座る。
「……ふぅ」
トイレで用を足しながら考えにふける。
「早く決めないといけないんだよな……」
翡翠から聞いた話によると、生理というものは排卵日から約二週間で来るらしい。
排卵日に産まれた卵子が24時間くらいの間に精子と出会って受精することで妊娠し、受精しなかった卵子は生理のときに体外に排出される。
生理周期が一定していないのは、女性ホルモンだかなんだかの影響で排卵日がずれるのが原因のようだ。
つまり、生理周期が不安定な俺は、今日が排卵日で妊娠できる可能性も有り得るということだった。
「本当は今すぐにでも妊娠を試みた方がいいんだろうけど……」
アリシアを救うために俺に与えられた妊娠の機会は限られている。
「去年まであれだけ無駄にしてきた精子を欲しくなる日が来るなんて……」
体を前方に折り曲げて肘をつくと、用を足すために下ろしたショーツとナプキンが視界に入る。いつ生理が来ても大丈夫なようにつけている薄いやつだ。
もちろんまだ生理は来ていなかった。
「妊娠かぁ……」
人工授精を頼れない以上、誰かに種を貰う必要がある。それは、つまりセックスするということで……
「こんなことを誰に頼めるってんだよ……」
幸い異世界人とこの世界の人との間で子供が産まれることは実証されている。過去に俺と同じ方法で異世界に召喚された勇者が、あちらに残って子孫を残しているという話をアリシアから聞いたことがあった。
だから、相手は異世界人に限られるといったことはない。
問題となるのは、知り合いに頼むのか、それとも知らない人に頼むのか、だ。
心情的にはやっぱり知り合いの方が安心できる。
だけど、アリシアの魂を移すとはいえ、普通の認識では相手を父親にしてしまうことを考えると気軽にお願いできることではない。
それに、俺が求めるのは子作りのためのセックスだ。誘うにしても、積極的に生で中出しを求めることになる。それって、普通に考えてありえないと思う、俺なら怖い。
生理がまだ来てないことにしようにも、授業中の教室で初潮が来たことは学校では割りと知られている話だと思うし……