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150 明日に向けて

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4月6日(木) 0周1日
 今日は春休み最终日。
 俺は昨日に引き続き、春休みの宿题に追われていた。
「はぁ……学校に行けなくなるかもしれないのに、宿题を顽张る意味ってあるのかな」
 俺は勉强机に突っ伏して愚痴をこぼす。
 学校には妊娠出产を隠して休学する予定とはいえ、それが上手くいくとは限らない。もし学校にばれて退学になったら、今俺がやっていることは无意味になるのだ。
「しんどいのはわかるけど、最初から谛めてどうするの」
 翡翠にたしなめられる。
 彼女は今日も手伝いに来てくれていた。
「……そうだね」
 まったくもってその通りだった。
 俺自身やる前から谛めるつもりなんてない。
 ……だけど、弱音を吐きたくなるときもある。
「うぅ、お腹痛いぃ……」
 両手でお腹を押さえる。キリキリと下腹部が痛む。今日は生理の二日目で一番しんどい日だった。できることなら一日中ベッドに横になっていたい。
「ほら、私も手伝うから、あともう少し顽张りましょう?」
 翡翠が机に伏せた俺の头を抚でてくれる。
 俺はされるがまま身を任せて目を细めた。
「ん、気持ちいい……」
 だんだんと翡翠に甘えるのが癖になってきてる気がする。なんだかズブズブと深みに嵌ってるような……
 そのまま痛みが落ち着くまで待って、なんとか気合を入れ直した俺は宿题を再开した。翡翠の付きっきりのサポートのおかげでわからないところも踬くことなくスムーズに进む。
 しばらくたった顷、部屋のドアが兴奋気味にノックされた。
「アリスいるー!?」
 返事をすると直ぐに势いよくドアが开いて优奈が部屋に入ってきた。
「见て见て、大発见!」
「どうしたの、优奈?」
「苍兄とエッチしなくても妊娠できる方法を见つけたの!」
「なんですって!?」
 ガタッと翡翠が立ち上がる。
 俺は讶しがりながら优奈が持ってきた雑志を受け取った。
「出かけてると思ったらこんな物を买いに行ってたのか」
 それはいわゆる妊活雑志だった。
 女子高生には买いづらい本だろうに、俺のために买ってきてくれたのだろう。
「うっ……」
 かわいい赤ちゃんの写真の周囲に『授かる』をキーワードに様々なキャッチフレーズが并んでいて、なんというかとても妊娠することへの圧を感じてしまう。
 だけど、俺は谁よりも必死にならないといけない状况なのだ。
 この本は后でじっくり読ませてもらおう。
「ほら、このページ!」
 付笺のついたページを开くとシリンジ法の绍介という记事が出てきた。
 シリンジとは针のない注射器のことで、それを使って采取した**を膣内に注入するのがシリンジ法というらしい。
 购入するのに通院や诊断は不要で、キットを通贩で买えるとそこには书いてあった。
「これを使えば、あいつをアリスに触れさせなくてすむわ!」
「それじゃあ、早速これ注文しとく?」
「うーん……」
 盛り上がる二人に対して俺はあまり気乗りしていなかった。
「せっかく调べてもらって悪いけど、私はあまり使いたくないかな」
「どうして? アリスは苍汰とのセックスを望むの?」
「まさか」
「だったら、纳得できる理由を闻かせてもらえるかしら」
 翡翠は身を乗り出して、俺を问い诘めるような口调で言う。
「シリンジ法には、出してすぐの**が必要になるみたいだけど、そうなると苍汰は一人でしなくちゃいけなくなるよね?」
 セットには検尿のときに使うような纸コップがついていた。これを使って精子を采取するようだ。
「それがどうしたの? どうせほっといても猿みたいにするんだから、あいつにやらせたらいいじゃない」
「一日に何回もは难しいよ。男の射精って意外と繊细なんだから」
「……そうなの?」
「私がセックスできない体なら仕方ないけど、そうじゃないし」
 シリンジ法は勃起不全などで性行为が上手くできない夫妇にとって有効な手段と书いてあった。つまり、セックスできるならそれに越したことはないのだ。
「それに、セックスをしたらホルモンが分泌されて、妊娠出产しやすくなるっていう说もあるみたいなんだ」
 科学的な裏付けまではないみたいだけど、本能的な直感で俺はその说は正しいんじゃないかと思う。
「アリシアは巫女の祝福の関系で成长が止まっていたから。出产に向けて少しでも体を作りたいと思ってるんだ」
 苍汰のアレなんかより比べ物にならないほど大きい胎児がそこを通ることになるのだ。それに备えて少しでも体を惯らしといた方が良いだろう。
「……でも、アリスはセックスしても辛いだけなんだよね?」
「苍汰が気持ち良いならそれでいいよ。兴奋するほど精子はいっぱい出るし、少しでも妊娠する确率を上げたいから」
 多分、お愿いしたら、苍汰はシリンジ法に协力してくれるだろう。
 だけど、妊娠する可能性を高めるにはなるべく多くの精子を受けることが必要だ。そうなると、苍汰には何度も纸コップに射精する自慰行为を强要することになる。その后の贤者タイムは想像するだけで虚しいものになるだろう。
 オナニーをするときは自由であるべきだと思う。
 自分胜手で独りよがりな行为だからこそオナニーなんだから。
 俺の都合でその自由を夺うのだから、対価として苍汰が良い思いをするくらいじゃないと钓り合いは取れない。
 俺はそう思うのだ。
「アリスはそれでいいの?」
「うん」
 それでも、処女を失う前にこのことを知っていれば迷ったかもしれない。だけど、もう初体験は済ませてしまった。
 幸いなんとか苍汰のアレを受け入れることはできている。今となっては苍汰に抱かれることにそこまでの抵抗はない。
 ただ、目を闭じて我慢すればいいだけだから。
「……それなら仕方ないわね」
「ごめんね、翡翠」
 恋人である翡翠には悪いと思うけど、そもそも苍汰を巻き込んだ计画を立てたのも彼女だからここは折れてもらおう。
 もちろん、苍汰自身の意思は确认しないといけない。苍汰がシリンジ法を望むならそうするべきだろう。
 あいつには好きな人がいる。
 男だから好き嫌い関系なしにセックスできるだろうけど、そのことで変に生真面目なあいつは苦しんでいるのかもしれない。
 それに、亲友であり元男を抱くのは、いくら俺が美少女だからとはいえ抵抗があるだろう。
「……そうでもないか?」
 俺は自らの考えを撤回する。
 セックスの最中、必死に腰を振る苍汰の颜は荡けそうなほど缓んでいて、とても気持ち良さそうだった。
 苍汰は初めてのセックスに梦中になっているのだろう。
 まぁ、无理もないと思う。
 取り敢えずシリンジは注文しておくことになった。何があるかわからないし、これなら、最悪苍汰が駄目だったときに父さんにお愿いできなくもないと思ったので。
4月7日(金) 0周2日
 今日から高校二年生だ。
 朝一に张り出されたクラス分けを确认して新しい自分の教室に向かう。
 二年になっても优奈と同じクラスでほっとした。他にも纯も含めた数人が去年と一绪のクラスだった。残念ながら、文佳と山崎くんとは别のクラスになってしまったようだ。
 去年からのクラスメイトには、休みの间に髪を切ってポニーテールにしたことを惊かれたけど、この髪型も似合ってると褒めてくれた。
 ホームルームでは无难に自己绍介をして、その后、ちょこちょこ新しいクラスメイトとも话ができた。この调子だと多分すぐに驯染めるだろう。
 妊娠したら休学する予定だからどこまで居られるかはわからないけど。
 今日は始业式とホームルームだけで授业は无い。
 二日间ひたすら宿题に追われていたので、今日は気分転换したくなって俺はなんとなく部室に向かった。
「……よ、よう」
 部室には苍汰が一人でいた。苍汰とは一昨日に生理が来たことを伝えたっきりで、それ以降连络を取っていない。
 俺が部室に入ると苍汰は不自然に体を紧张させて、意识してしまっているようだった。
「今日は、大丈夫なのか?」
 ……大丈夫じゃないです。
 生理三日目で、まだお腹が重い。
 そりゃ昨日よりはマシだけど……
「ごめん、今も血が出てるから、その……今日はできないんだ」
 亲友とはいえ、女になった自分の体のことを说明するのは若干気まずいものがある。
「ええと、ヤりたいのはわかるけど、女の子にそんな风に闻いたら本当はダメなんだよ? ……まあ、私相手だからいいけど」
 苍汰が女性の体のことをわからなくても仕方ないと思うから、今回の减点は勘弁してあげよう。
「ち、ちげーよ!? そういうことを闻いたんじゃなくて! 俺は纯粋にお前のことを心配してだな……」
 どうやら、俺は质问の意図を勘违いしていたらしい。
「ご、ごめん……その、私は平気だから」
 随分耻ずかしいことを口走ってしまった気がする。
 ……これは私が减点だな。
 出会い头にいきなりぎくしゃくしてしまった。
 俺は気を取り直して、ここに来た目的の物を探すことにする。
 それは、直ぐに见つかった。先日発売された新しいウィソの全カードが载ってあるガイドブックで、凉香が部室に置いてある半分备品のような物だ。
 俺はそれを手に取って、苍汰と少し离れた席に腰を下ろした。
 本のページをめくりながら、新しいカードを使ったデッキのアイデアを考えていると、妙に苍汰がこちらの様子を伺っていることに気がついた。
「ん……? 苍汰もこの本を読みたかった?」
 苍汰は慌てて首を振った。
「い、いや、そういう訳じゃないが……」
 それからもチラチラと视线を感じた。それもなんだか热っぽいやつだ。
「な、なんだよ。そんなに见られると、気になるじゃないか」
「す、すまん……」
 苍汰は颜を反らして言う。
「どうしたんだよ、お前。もしかして、三日できなかっただけで発情してるのか?」
 少しからかい気味にそう言ったら、苍汰がギクリと体を震わせて固まった。どうやら図星だったらしい。
「え、マジか……」
 いくらセックスを知ったからと言って、こんなに我慢できなくなるのか? これじゃあ、童贞だったときよりも余裕がなくなっているんじゃ……
 そこまで考えて、不意に思い当たることがあった。
「お前、もしかしてあれからヌいてないのか?」
「……约束したからな」
 はじめてセックスしたときに苍汰と交わした约束、精子は全部私の中で出してほしいというやつだ。
「そりゃそうだけど、别に私が生理のときまでしなくてもいいのに……」
「お前が顽张ってるのに俺だけ好き胜手はできねーよ」
 苍汰は颜をそらしたまま不贞腐れたような口调で言った。多分、照れ隠しなのだろう。
「苍汰……」
 その结果として性欲を抑えられないってのは、どこか抜けているというか、なんとも苍汰らしい気がする。
「もしかして、サプリも饮み続けてる?」
「……おう」
「それは无茶だろ……」
 马鹿だこいつ。
 セックス覚えたてでお预けになって、ただでさえ闷々としてるだろうに、その上に精力増强のサプリを饮むなんて。
 マゾか、マゾなのか。
 俺は思わず溜息をついた。
「明日だったらほとんど血は止まってると思う。少しは出てると思うから汚れるかもしれないけど、苍汰が构わないならしてもいい……どうする?」
 明日は生理四日目だ。感染症のリスクもあるので、本当なら完全に血が止まるまで待った方がいいのだけど、今は事情が事情だから苍汰が望むなら多少のリスクは许容しよう。
 生理中のセックスでも精子は射精后一周间くらい寿命があるから、排卵が早めに来た场合は妊娠できる可能性はあるので无駄という訳ではないし。
「……頼む。正直お前の口からヌくとかするとか闻いてるだけで、どうにかなりそうなんだ」
 座っている状态なのに苍汰のズボンの股间部分はギンギンに主张している。俺の视线を感じたのか、ソレはビクリと震えて反応した。苍汰の息が浅い。
「ほんと、重症だなお前……」
 我慢しすぎて理性の箍が外れかかっているようだ。普段の苍汰なら部室で硬くなったアレを见せつけてくるようなことはしないだろう。
 でもまぁ、强力なサプリで性欲が増している状态でオナ禁なんてしたら、そんな风になっても仕方ないか。
「明日になったら好きなだけ付き合うから、今日は我慢できるか?」
「す、好きなだけ……うぅ」
「想像するな、バカ」
 どうやら今の苍汰には俺の姿は刺激が强すぎるようだ。
 苍汰相手に焦らしプレイをする趣味はないので、今日は早々に引き上げることにした。カードリストはスマホでチェックすることにしよう。


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