新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で身内を看取(みと)る人が増えているという。団塊世代が後期高齢者となり、年間約150万人が亡くなると推定される2025年が近づくなか、俳優の榎木孝明さんは大切な人の最期の時間に立ち合う「看取り士」の姿を描いた主演映画「みとりし」の具体化に尽力した。「忌避されがちな『死』を温かく前向きに考えてほしい」と語る榎木さんは「行政関係者も死生観への思索を深め、その哲学を政策に反映する時代だと思う」と指摘する。(聞き手・城島徹)
--看取り士とはどのように出会ったのですか。
榎木さん 十数年前に島根県の知夫里(ちぶり)島を訪れた時、一人暮らしの老人を引き取って看取りをしている女性がいると聞きました。訪ねてみると、「誰にも看取られずに孤立死するのは社会問題だから、なんとかしたい」と言われました。後に一般社団法人「日本看取り士会」(本部・岡山市)を設立して会長を務める柴田久美子さんです。
温かな最期を迎えてほしいという死生観に共鳴し、「看取る」人々の話をいつか映像化したいですねと語り合いました。数年前、そろそろ機が熟したのではないかと制作会社を紹介したところ、「やりましょう」と一昨年ゴーサインが出て、柴田さんの著作をもとにした脚本の映画「みとりし」(白羽弥仁監督)が完成し、昨年公開されました。
--映画ではどのような役をされていますか。
榎木さん 娘を亡くして妻とも離婚したサラリーマンが早期退職して看取り士になる役です。生きることに希望を失って自殺しようとした男が看取り士と出会うことで新たな希望を見いだす。今も新型コロナウイルスの感染拡大で自殺者が増えていますが、離婚されて独り身という立場の方は大勢いると思うし、身につまされる方も多いでしょうね。
国内外でリモート上映されていますが、日本人の持つ死生観というのは、海外でも注目されています。東日本大震災(2011年)が起きた時でも、なんでこれほど穏やかに対応できたのかと不思議に思われたようですから。
--看取り士とはどのように出会ったのですか。
榎木さん 十数年前に島根県の知夫里(ちぶり)島を訪れた時、一人暮らしの老人を引き取って看取りをしている女性がいると聞きました。訪ねてみると、「誰にも看取られずに孤立死するのは社会問題だから、なんとかしたい」と言われました。後に一般社団法人「日本看取り士会」(本部・岡山市)を設立して会長を務める柴田久美子さんです。
温かな最期を迎えてほしいという死生観に共鳴し、「看取る」人々の話をいつか映像化したいですねと語り合いました。数年前、そろそろ機が熟したのではないかと制作会社を紹介したところ、「やりましょう」と一昨年ゴーサインが出て、柴田さんの著作をもとにした脚本の映画「みとりし」(白羽弥仁監督)が完成し、昨年公開されました。
--映画ではどのような役をされていますか。
榎木さん 娘を亡くして妻とも離婚したサラリーマンが早期退職して看取り士になる役です。生きることに希望を失って自殺しようとした男が看取り士と出会うことで新たな希望を見いだす。今も新型コロナウイルスの感染拡大で自殺者が増えていますが、離婚されて独り身という立場の方は大勢いると思うし、身につまされる方も多いでしょうね。
国内外でリモート上映されていますが、日本人の持つ死生観というのは、海外でも注目されています。東日本大震災(2011年)が起きた時でも、なんでこれほど穏やかに対応できたのかと不思議に思われたようですから。