日本の「家」制度は、濃厚な母権制の色彩を帯びていた。これは、婚姻制度と相続制度によく反映されている。母権制の象徴――「妻問婚」が14世まで行われていて、古代の日本社会に影響を強く与えた。封建制が確立される以前、日本人の相続制度は男子女子平均制であったが、封建社会になっても依然として女子の相続権が認められていた。
　母権制の影響で、日本の父権性の出現が遅れ、同族同姓の父系血縁観念の重要性が薄くなり、日本は、中国ほど血縁関係の観念が強くない。日本の「家」は、父系の血縁と関わるが、場合によって、社会関係、階層関係、業界関係、地縁関係とも関わることがある。だから、日本の「家」は、「組織」であり、「企業体」であって、家族成員だけではなく、非家族成員をも含めることができる。
　荘園制度以後に形成された父権制の「家」は、長子相続制度が慣行となり、伝統的な日本社会の中では、長男が相続人として家の中で特殊な地位を占めた。長子が「本家」となり、結婚して独立した弟たちは「分家」となる。「本家」は「分家」の面倒を見る義務があり、「分家」は「本家」の労作を手伝う義務がある。