漢字文化圏とは、中国と中国皇帝からの冊封を受けた周辺諸民族のうち、漢文を媒体として、中国王朝の国家制度や政治思想を始めとする文化、価値観を自ら移入し、発展させ、これを中国王朝とゆるやかに共有しながら政治的には自立を確保した地域上記の双方を合わせた地域を指す。注意を要するのは、媒体は漢文であって中国語ではないことである。漢字文化圏では漢文は中国語だと考えられていない。現在の地域区分で言うと「東アジア」と重なる部分が大きく、現存国家の中では、中国両岸(中国大陸および台湾)、ベトナム、南北朝鮮、日本などがここに含まれる。日本の歴史学者・西嶋定生が提唱した「東アジア世界論(冊封体制論)」をきっかけとして定着し、歴史学における「文化圏」概念形成のモデルの一つとなった。