その结果、彼が现在は大蔵大臣であり、当时は银行局长だった永田と同郷で密接に繋(つな)がっており、将来の出世コースを保证されていることが判明した。そして、大蔵官僚が银行头取の娘を妻にすることの是非に迷ったのか、なかなか首をたてにふらなかった美马を、二年がかりで口说き落したのだった。
「さてと――」
大介は、ボールの落ちた地点から前方を见た。七十ヤードほど先にある大きな谷とバンカーが、この地点からみると、ティー.グラウンドで见た时以上の距离をもって横たわり、前方のフェア.ウェイがほんの少ししかないように见える。普通なら谷越えして向うのフェア.ウェイを狙(ねら)って长打するところを、大介は敢(あ)えて九番のアイアンを取り出し、ショットした。ボールは谷のすぐ手前で止まった。こうして手坚く刻んで打って行き、あとは得意のアプローチで胜负する。その间に、相手が冒険してエラーで自灭するのを待つというのが大介の戦法であった。しかし、美马も好プレイでひけをとらず、十五番ホールは美马が胜った。
胜负は最终の十八番ホールに持ち込まれた。十八番は、いわゆるドッグ.レッグ.ホールで、全体が犬の足のような形をしていた。大介は十五番ホールの时の作戦と同じく、コースの外侧を远廻りになったが安全に攻めて行き、美马は内侧の曲った部分をカットして、最短距离を狙う戦法を取った。确率は低かったが、成功すればあとの攻め方において、断然、优位にたてる。
大介の第一打は、狙った通りの地点へ飞んだが、気负った美马は力みすぎて失败し、左方向の雑草地帯へ打ち込んでしまった。大介は、第二打を打った。ボールは次の第三打でグリーンが狙いやすい绝好の场所へ止まった。美马の颜に自尊心を逆抚(さかな)でされたような表情がうかび、枯草の中に落ちたボールの前にたって、无理を承知で条件の悪いその场所から一気にグリーンを狙った。ボールは枯草と一绪に舞い上ったが、グリーンを大きくはずれ、その向うのバンカーへ消えた。そこには名にしおう深いアリソン.バンカーが横たわっている。
「しまった――」
美马は口惜(くや)しげに云い、グリーンの裏へ廻り、バンカーからグリーンの上の赤い旗竿(はたざお)をめがけてショットしたが、ボールは深いバンカーからなかなか出ない。第三打を首尾よくピンによせた大介は、グリーンの上から砂烟を浴びながら悪戦苦闘している美马を、舅らしからぬ皮肉な笑いをうかべて见诘めていた。辛うじて美马がバンカーから脱出して、グリーンにのせた时には既に六打で、胜负は大介が胜った。
「やっぱり今度も駄目でしたが、この次は必ず雪辱したいものです」
美马が次回を期するように云ったが、
「いや、私だって、まだ二、三年は君の首根っこをおさえ続けてみせるよ」
大介は愉快そうに応じ、二人は上気した颜の汗を拭(ぬぐ)いながら、クラブ.ハウスへ引き扬げた。
シャワーを浴びたあと、クラブ.ハウスのラウンジに向い合い、ビールを注文すると、大介は、
「金融制度调査会の特别委の委员长は、もう内定したのかね」
正月の电话では、闻き出せなかったことを闻いた。
「ええ、内定してます、日本経済连合会の小野山(おのやま)事务局长ですよ」
「ふうむ、小野山――」
小野山は日本経済连合会の中でも、金融系列にこだわる银行のエゴイズムが企业再编成を阻(はば)んでいるから、金融机関の再编成を促进すべきだという意见の持主だった。
「そうすると、再编成のテンポが早くなる感じだね」
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