どうにか無事に終わり、強引な手段に出る必要がないと安堵もつかの間だった。
オリヴィアさん――アンが意外な人物の名を叫んだ。
「何が起きた!?」
慌ててマリエに駆け寄った俺は、その手を握って強引にオリヴィアさんから離れる。
マリエも何が起きたのか予想できていない。
「え? えっ!?」
混乱する俺たち。
マリエと一緒に謁見の間にやって来たアンジェリカさんは、俺たちの側に来るとライフルを構える。
そのまま引き金を引きそうだったので、慌ててライフルの銃身を掴んで下げる。
「何をしている!?」
「――様子がおかしいからここで止めを刺そうとしただけだ」
無表情で答えるアンジェリカさん。
そもそも、どうして二人がこの場に来ているのか?
理由を問い詰めている暇もないため、俺は苦しんでいるオリヴィアさんに顔を向ける。
「おい、アン!」
名前を呼ぶと、アンは苦しみながら目をむいて誰かへ憎悪を向けていた。
「あの根暗の陰険女! 私を騙しやがった! 最後の最後にこんな仕掛けを――どうして――こんな――ちくしょうがぁぁぁ!!」
根暗? メアリー?
俺はその人物に心当たりがあった。
それは姉妹でありながら他人扱いをしていたアンの妹さんだ。
オリヴィアさんが苦しみから解放されると、両手の力を抜いてだらりと下げる。
そして天井を見上げたかと思えば、今度は両手を天に向かって伸ばしていた。
穴の空いた天井から差し込む光がオリヴィアさんを照らしている。
瓦礫の中で天井から差し込む光に両手を伸ばすオリヴィアさんは、先程と雰囲気が違っていた。
妖艶な色気を出していたアンの気配が消えていた。
ゆっくりと俺たちに向き直るオリヴィアさん――ではない誰かが、俺たちを前にして笑顔を見せる。
そしてオリヴィアさんは――。
「パンパカパーン! メアリーだよ~!」
――口を三日月のように広げ、目を見開いて愉快そうに笑い始めた。
笑っているオリヴィアさんが、怨念であったアン以上におぞましく見えて仕方がなかった。
以上一点结局的日语原文