序章(じょしょう)
序章
ひゅう、ひゅう、と音がする。あまりにも上下するたびに闻こえるので、それが风の音ではなく、自分の口から吐き出されている音だと知る。
我听到,呼呼的声音。在每一次胸口起伏的时候都可以听得如此清晰,我知道,这并非是风的声响,而是自己口中吐出的声息。
この部屋は、とても寒くて暗い。ああ、私は、前にも、こんな风に冷たい床に転がっていたことがあったっけ。そんなことを考えて目を闭じる。涙か血か、わからない液体が頬(ほお)を伝う。
这个房间,非常寒冷、非常阴暗。啊啊,我,在这之前,也曾经像这样摔倒在冰冷的地板上过来着?我想着这件事闭上眼睛。不知是眼泪还是血液的液体滑过我的脸颊。
窓から、强い风が吹きこんでくる。
从窗户吹进了强劲的风。
机の上に开かれている日记を、ぱらぱらとめくりあげる音がする。
风吹动了桌上打开着的日记本,发出啪啦啪啦书页卷动的声响。
それは、私の日记。
那是、我的日记。
私のすべてが记されている、赤い表纸の本。私は、まるで昨日の出来事のように、すべてを思い出すことができる。
那是记录了我的一切,红色封皮的日记。我可以记得一切的事情,仿佛他们就是昨天发生的一样。
私は、书いたこともない、その日记の书き出しを知っている。
我知道、那本我从没写过的日记的开头。